ファイバ非線形光学を用いた周波数モード間量子相関制御と
量子もつれ光パルス発生
研究ミッション
古典-量子ハイブリッド符号化システムのような量子情報通信の実用化には,光ファイバ通信波長帯域における導波路型の実用的な連続変数量子もつれ光パルス源の実現が必須である。本研究では,非線形ファイバ光学を用いた量子光学を用い,スクイーズドパルスの発生と量子もつれパルス対の構築を行う。
直交位相スクイーズド光を用いた量子もつれ状態の生成
我々は,これまでフェムト秒レーザーパルスが光ファイバを伝播する際の自己位相変調効果を利用した直交位相スクイージングの発生とその性能向上について研究を進めてきた。また,LiNbO3非線形結晶のカスケード2次非線形効果によって生じる位相変調が直交位相スクイージング発生に有効であることを通信波長帯である1550 nmにおいてはじめて実証した。モノリシックな導波路構造デバイスの開発により,パラメトリック効果を用いている他のスクイージング光発生方法とは異なり,波長変換を一切用いないコンパクトな量子光源の開発が可能になる。 一方,これまでのファイバ非線形量子光学の研究において継続的に着目しているのが,フェムト秒レーザーパルスの広帯域スペクトルに内包されている多数の周波数モード間の量子相関形成である。ファイバ伝播における自己位相変調に加え,4波混合,ラマン散乱過程によって複雑な量子相関が形成される。このモード間量子相関を古典的な手法によって制御できる可能性につては,すでに我々は理論モデル計算から明らかにしており,2モード間の量子もつれ状態を形成できることも予想している。こういった,今までにない1パルス内の周波数モード間量子相関を制御することができれば,クラスター的な量子相関状態をデザインすることが可能になるかもしれない。 本研究では,GHzモード同期レーザーとline-by-line波形整形を用い,フェムト秒レーザーの縦モード間量子相関の計測・制御手法を開発することで,今までにない量子相関光リソースの実現を目指す。
研究プロジェクト
- GHzモード同期レーザーとline-by-line波形整形を用いたフェムト秒レーザー縦モード間量子相関制御
- フェムト秒レーザーの非線形ファイバ光学を用いた量子もつれパルス発生
フォトニック結晶ファイバを伝播したフェムト秒レーザーパルスの周波数間量子相関
古典論的閉ループ適応制御を用いた周波数モード間量子もつれ発生の実験概念図