慶應義塾大学理工学部電子工学科  神成研究室

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プラセオジム(Pr3+)ドープフッ化物レーザーによる
可視・深紫外域高輝度コヒーレント光源の一新化

研究ミッション

可視~深紫外域の短波長コヒーレント光源は,レーザー加工において絶対的な利点を有しており, 1 μm帯の高出力レーザーも3倍波変換での利用が余儀なくされる。Pr3+イオンをドープしたフッ化物材料は,赤~青の波長域で多くの光学遷移を有することが以前より知られていたが,実用可能なレーザーとして着目されるようになったのは,波長440 nm帯InGaN青色半導体レーザーの高出力化が達成されて以来である。我々は,2007年にいち早く青色半導体レーザー励起で当時世界最高出力のPr:LiYF4レーザーを波長633 nmで報告している。近年はInGaN半導体レーザーの高出力化がさらに進み,単一エミッターで最大4 Wが得られる。

Pr3+の可視域光遷移とInGaN半導体レーザー励起Pr:YLFレーザー (左図)
赤色モード同期Qスイッチレーザパルス(右図)


一方,レーザーの高機能化には高出力化に加えパルス動作が欠かせないが,受動Qスイッチ,受動モード同期には高性能の可飽和吸収体が必要である。我々は,Cr4+:YAG結晶が可視域全体における高性能可飽和吸収体であることを見いだし,すでに世界初のQスイッチモード同期発振を波長633 nm, 607 nmおよび532 nmにおいて実現した。この事実は,今まで可視域で存在しなかった直接発振の全固体パルスレーザーのみならず共振器内2倍高調波発生による深紫外域高輝度コヒーレント光を実現できることを意味し,この波長域のコヒーレント光源の一新へと導くものである。1 μm帯のレーザーの3倍波,4倍波ではじめて到達できる波長帯を,直接レーザー発振および高効率な共振器内波長変換で達成できることにより,レーザーがその共振器技術をもって達成しうる多くの機能を可視・深紫外域で実現できる。 すなわち,我々が2013年に世界に先駆けて達成した,Pr3+イオンドープLiYF4レーザーの赤(633 nm)および緑(522 nm)波長域での受動Qスイッチモード同期レーザー発振の事実にもとづき,可視波長域さらには深紫外波長域での高輝度コヒーレント光源をこのレーザーとその共振器内2倍波発生で一新すべく,単に出力特性の改善に留まらない多機能なレーザー開発を行う。

研究プロジェクト

  • 可視・深紫外域モード同期超短パルスレーザー
  • 可視・深紫外域マイクロチップピコ秒レーザー
  • 導波路型可視・深紫外域レーザー
  • 可視・深紫外域波長可変パルスレーザー
  • 可視・深紫外域周波数コムの構築

InGaN半導体レーザー励起Pr:YLF可視Qスイッチモード同期レーザー



InGaN半導体レーザー励起Prファイバレーザーの波長可変発振特性


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